柴田自動車株式会社 代表取締役 柴田 達寛さん
「自分たちが使いたいから」が、すべての始まりだった

坂祝町に本社を構える柴田自動車株式会社。現在、モータースポーツタイヤメーカー「シバタイヤ」、ドリフトラジコンブランド「DR GRK」、R31スカイライン専門店「R31HOUSE」など6つの事業を展開し、2020年までパジェロ製造で支えられていた坂祝町を今では柴田自動車株式会社が支えていると言っても過言ではないまで成長を遂げた。
この急成長の原動力となったのが、代表の柴田達寛さんだ。そして驚くべきことに、すべての事業は「自分たちが欲しいから」という純粋な欲求から始まっている。
「そもそもドリフトで使うタイヤが欲しかったんですよ。中国に行けば日本の半値で仕入れられるんじゃないかって」
柴田さんがタイヤ事業に本格参入したきっかけは、実にシンプルだった。
14歳のラジコンキッズが運命を変えた
転機は、一人の少年との出会いだった。
「14歳の頃からラジコンがめちゃくちゃ速いキッズがいて、『大人になったらおいで』って話してたら、本当に来ちゃったんですよ(笑)」
成長した元ラジコンキッズ・蕎麦切 広大(そばぎり こうだい)選手の参戦により、柴田さんは本気でドリフト競技に挑むことを決意。自分たちのチームが勝つために、本気のタイヤ開発がスタートした。

展示会の即決契約から始まった、タイヤ開発の苦闘
展示会で出会った中国のタイヤメーカー「RYDANZ(レイダン)」と、その場で代理店契約を締結。しかし届いたタイヤは、お世辞にも競技用とは言えないクオリティだった。
「正直ヘッポコでしたね。でもそこから変えるのも面倒だったので、あれこれ依頼して本気で勝てるタイヤに育てていきました」
試行錯誤を重ね、シバタイヤを装着したマシンが次々と勝利を収めるようになると、今度は別の問題が発生した。
「市販していないタイヤで勝つのは卑怯だ」
批判を受けて、2019年11月に一般販売を開始。2021年1月の東京オートサロンで大々的にPRすると、さまざまなサイズの要望が殺到し、ラインナップは100サイズまで膨れ上がった。
批判を力に変える、4回の大炎上から学んだこと
急成長の裏には、4回もの「ネット大炎上」があった。
「もう4回やったんで、大丈夫かなと(笑)」
しかし柴田さんは、炎上を恐れなかった。むしろ叩かれた案件を一つひとつ丁寧に拾い上げ、真摯に解決していく姿勢が、結果的に熱心なファンの醸成につながった。
「(タイムアタックではなく)ドリフト用として販売していたが、なぜかサーキットでタイムが出ないってネットで言われて。悔しいから2023年はグリップタイヤを作りました」
開発したグリップタイヤは、「アタック青木」こと青木大輔選手がラジアルタイヤで筑波2000をラジアル最速54秒443!というレコードを更新するなど、各サーキットでシバタイヤが好タイムを連発。
さらなるタイムアップを目指し、現在はSタイヤの販売も展開している。

そしてサーキットタイヤ、スポーツタイヤだけでなく、スタッドレスタイヤも3年前から販売を開始。
昨シーズンは好評を博し、今シーズンはLT(ライトトラック)サイズでハイエースユーザー向けにも展開を始めた。

追記:2025年2月10日 筆者もキャラバンでLTのスタッドレスタイヤを実際に使用。 凍結でも溶けているようなコンディションでもしっかりとしたグリップで安心して走れる。コスパが抜群で、みんなに勧めています。
世界を見据えた次なる野望
柴田さんの視線は、すでに日本を超えている。
「レイダンの世界的販売権を取得し、東京・丸の内に拠点を構えて世界70カ国、売上1兆円を目指します」
コロナ禍という逆境も、追い風に変えた。15億円を借り入れ、すでに5億円を返済。着実に次のステージへの準備を進めている。
さらに地域貢献として、坂祝町でタイヤのふるさと納税も開始。
会社の目の前にはサッカースタジアムを建設する計画もあり、「そこでドリフトもやりたい」と柴田さんは笑う。
柴田自動車株式会社
本社:岐阜県加茂郡坂祝町黒岩1081
東京オフィス:東京都港区港南1丁目9-36 アレア品川13階
https://www.r31house.co.jp/











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